連載・特集

2018.5.15 みすず野

 カッコウの初鳴きを聞いた。早朝、拙宅のすぐ近くで「カッコウ、カッコウ」の澄んだ声音を響かせ、その声で目を覚ました。翌朝も聞こえたが、なぜか「カ、カ、カッコウ、カ、カ」とうまく鳴けないようすだった。そのうちにどこかに飛んで行ってしまった◆カッコウは、夏の到来を、いち早く告げてくれる渡り鳥である。宮沢賢治の童話には、さまざまな鳥が登場するが、カッコウも『セロ弾きのゴーシュ』で、ドレミファ(音階)を正確に習うために、ゴーシュの家にやって来る。初夏の風情と言えば、木曽の郷土菓子「朴葉巻き」が店頭に並び始めたという◆米粉の生地であんを包み、朴葉を巻いて蒸した伝統の味。ご存じ、朴の葉は大きくて厚い。落葉広葉樹の中で最も遅いくらいに芽を出すが、みるみる成長する。ことしは芽吹き、生育ともかなり早く、その分菓子店の朴葉巻き作りも急ピッチのようである。木曽路に足を延ばしてみよう◆東京・両国では大相撲夏場所が始まった。夕暮れ、取組を終えた力士が、粋な着流し姿で隅田川を渡る姿が目に浮かぶ。相撲の聖地、両国に夏を告げる風情、味わってみたいものだ。